【読書×色】本の装丁を楽しむ ~ 最近で最も好きな装丁をご紹介します
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書店で見かけた本の表紙の美しさにひかれ、思わず買ってしまった、―なんて経験はありませんか?
私は時々あります。特にハードカバーの本は、デザインに加え表紙カバーの紙質にもこだわりが感じられ、手に取る楽しみがあります。先日、とても素敵な装丁の本に出会ったので、ご紹介します。
「乱歩と千畝:RAMPOとSEMPO」
今、読み進めている青柳碧人さんの 「乱歩と千畝:RAMPOとSEMPO」 は、第173回直木賞候補作で、江戸川乱歩と杉原千畝という意外な組み合わせの二人の友情を描いた青春小説です。
表紙カバーも素敵です。黒をベースに、芥子色(からしいろ)でタイトルとイラストが描かれ、深い赤のアクセントが添えられたデザインからは、懐かしいモダンさと、どこか怪しい雰囲気が伝わってきます。江戸川乱歩作品の世界を意識しているようです。
表紙を外した時の感動
表紙カバーも重要ですが、私は表紙カバーを外した本体のデザインにも大変興味があります。
この作品の黒いカバーを外した時、現れた赤の表紙に思わずため息が出ました。(※記事の一番上の画像です)
どっしりと深みのあるなんとも素敵な赤です。表面に黒で描かれた模様はアールデコ風で、乱歩と千畝が出会った大正時代の趣があります。
また、表紙カバーの右側の「乱歩」という文字の下に描かれた本と同じデザインのようです。
江戸川乱歩は、アメリカ人作家 エドガー・アラン・ポーの名をもじってペンネームとしたことは有名ですが、赤い表紙のデザインは、ポーの作品をイメージしたものかもしれません。
表紙を開いて、また感動
そして、本の表紙を開き、二度目のため息。表紙の内側は表側の赤に負けない重厚感のあるセピア色でした。遠い時代のノスタルジーを感じさせます。
素敵なデザインの本はたくさんありますが、最近手にした本の中で最も好きな装丁で、ワクワクしながら作品を読み始めることができました。
装丁を楽しむことは電子ブックやオーディオブックにはない、紙の本ならではの魅力です。
本を購入されたら、表紙カバーを外して、装丁にも注目されることを強くおすすめします。デザインが何を伝えようとしているのか想像してみると、新しい発見やワクワクが見つかるかもしれません。
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