【映画・ドラマ×色】韓国ドラマ「テプン商事」~仲間の絆を深める室内色

韓国ドラマ「テプン商事」ポスター画像

不遇な状況下でも最後まであきらめない、世間知らずだった若者が苦労を重ねて成長していく、―これは、人気ドラマによくあるパターンです。「よくある」ということは、人々はそういう物語が好きだということですね。

今回は、まさにそういったストーリーで、人々を励ましてくれる話題の韓国ドラマ「テプン商事」から、印象に残る色をご紹介します。


■ 作品情報

・タイトル:テプン商事
      2025年製作/韓国/全16話

(あらすじ)
1997年の通貨危機のさなか、経営難の会社を父親から引き継ぐことになった自由奔放な息子。大人としての生き方を学びながら、向こう見ずだった青年が新米社長へと成長していく。(Netflixより)


■ 感想(ドラマ全体)

通貨危機という大変な経済状況下で、小さな商社「テプン商事」は取り扱う商品を見つけ出し、買い付け、運搬・保管と、一連の業務を行う中で次から次へとトラブルに見舞われます。それをあきらめずにどうにかして乗り越えていくストーリーに、目が離せませんでした。

苦難を乗り越えていく原動力となったのは、人間関係です。親子、同僚、恋人などの人間関係が物語全体を暖かく包んでいました。

特に、父親と息子の関係が印象的です。亡くなった父親とお酒を一緒に飲めばよかったと後悔する息子の姿には、しみじみとさせられるものがありました。

親と子はあまりにも身近な関係だけに、ちょっとしたタイミングを逃してしまい、あの時こうすればよかったと後になって思うことも少なくないと思います。一緒にいられる時間をもっと大切にしなくてはと考えさせられました。

キャストも個性的な役者さん揃いで、癖のあるキャラクターが所々で笑いを誘います。あきらめず笑顔で頑張れば、苦労もなんとか乗り越えていける、そう感じるドラマでした。


■ 注目カラー:事務所らしくない室内色が人間関係を深める

テプン商事の事務室、社長室をはじめ、時代を感じさせるノスタルジックなインテリアが数多く登場する中で、最も気になったのが仮事務所の室内です。

廃業した飲食店の店舗に什器備品を持ち込んだ仮事務所は、壁のタイルが半分から上が白、下が青という配色です。さらに青いタイルの部分には、横に引かれた赤い帯の上に白い波型のラインが描かれています。

青はやや深いトーンで少々硬い印象ですが、そこに赤と白のラインが加わることで、陽気で楽しい雰囲気となっています。事務所らしくない楽しさを感じるカラーリングで、この事務所のシーンでは、いつも壁の波模様に目が行ってしまいました。

この室内にテプン商事の社員たちが集まると、事務所らしくない空間だけに、同僚という枠を超え、仲間あるいは家族のような近しい関係に見えてくるのが不思議です。物語上でも、一度はバラバラになった社員たちが、この空間で再び団結していきます。

すっきりとした事務的色彩より、にぎやかな彩りのある空間の方が、より打ち解けた人間らしい関係を育ててくれるのかもしれません。


■ こんな方におすすめ

・不遇な状況でも前向きな、元気が出るドラマをお探しの方
・暖かい親子関係や同僚との人間関係を描いたドラマが好きな方
・レトロな雰囲気や、1990年代後半の韓国社会の光景に関心がある方


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